おでん『悦ちゃん』での想い出

カテゴリー │食べ歩き

桜坂にある、おでん『悦ちゃん』に初めて行った時の事は今でも鮮明に覚えている。
1994年の春の事だ。
我々Parsha cluBは(当時は新良幸人Parsha cluBと言うバンド名だった)その年の2月からデビューアルバムのレコーディングを行っていて、やっと全ての録音が終わり、アルバムジャケットの撮影のため、夜の桜坂に連れて行かれたのです。
当時26歳だった僕にとって「桜坂」という場所はちょっと怖くて、変わった(色んな意味で)飲み屋が多い場所で、とてもじゃないけれど、一人では近づこうと思わない場所だった。

あの夜、撮影を終えてお腹を空かせた僕らに「オレの行きつけのおでん屋があるから、そこに行こう」と誘ってくれたのは幸人だった。

まずは入り口でビックリ。
ドアには鍵がかかっているのでノックしないと開けてくれない事。
それも、店内からノックしたお客さんを確認してからじゃないとお店に入れてくれない事。
桜坂は昔から那覇では有名な社交街なので、泥酔したお客さんを入れない為にそうしている事を説明されて納得。

僕らは一番奥にある座敷に陣取ってビールを飲んでいる時にやって来たのがこの絶品のおでん!
(注:写真は当時のものではありません)
ホロホロになるまで柔らかく煮込まれたテビチに驚かされ、アジクーターなんだけど、箸が止まらない美味しさにビックリしながらメンバー全員で一皿ぺろりと平らげました^^
おでん『悦ちゃん』での想い出


おでん『悦ちゃん』での想い出


おでん『悦ちゃん』での想い出


その時僕らはデビューアルバムの曲順をどうしようか相談してて、美味しいおでんを頬張りながら、「ああでもない、こうでもない」と議論していたはず。
そうしているうちに、曲順は決まった^^

それから僕は個人的に何度も行くようになったけれど、いつの間にか先代のおかみさんから、今の(と言うか…先月までの…)おかみさんがお店を引き継いで、とてもとても可愛がってもらいました。
一人で行くときは小食な僕の事を気にかけてくれて、テビチと大根をメインにしてくれた。
「かみちゃん(そう呼ばれてました)は小食だから野菜は沢山食べなさい!」とビックリするくらいの野菜を入れてくれた。

そして、僕がお代わりする時にはとても嬉しそうに「美味しいからもっと食べたいの?」と笑いながら厚揚げ豆腐、ウインナー、卵、こんにゃくを入れてくれたっけ。
おでん『悦ちゃん』での想い出


おでん『悦ちゃん』での想い出


その優しかったおかみさん(僕はいつも「お母さん」って呼んでました)が先月遠くに行ってしまいました。
その日、何かの知らせがあったのか、僕はお店に行ったんだけど、何の張り紙も無しにシャッターが閉まってて胸騒ぎがしたのを覚えています。

このお店で出会って、一緒に音楽をするようになった仲間も居ます。
そして実際に「悦ちゃん」でライブをした事もあります!

僕が酔っぱらってると「かみちゃん誘惑に負けずに真っすぐ家に帰るのよ!」と言ってくれたお母さん。
今まで本当にお世話になりました。
いつか、どこかで、またお母さんの「おでん」が食べられたらなぁと思います。
おでん『悦ちゃん』での想い出







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この記事へのコメント
悦ちゃん
名店の灯が消えてしまい寂しいです…
Posted by 164164 at 2016年09月30日 07:14
164さん

本当に寂しいですね…
Posted by 神村英世神村英世 at 2016年09月30日 14:17
いつかは来ると分かっていても。
きっとおでんの味もおかみさんの優しさも神村さんの中にずっと行き続けますね。
Posted by ポコポコリポコポコリ at 2016年10月02日 08:20
ポコポコリさん

あまりに急でしばらくは信じられませんでした。
でも、その事をしっかり受け止めなければ、と思っています。
あの味はもう探せないと思うので、時間をかけて新しいお店を探すつもりです。
Posted by 神村英世神村英世 at 2016年10月04日 22:54